2015年6月28日日曜日

疑似体験の疑似体験


いつもの浜に、行かれなくなってしまった。

いつもの浜に行くと、その時々抱えているあらゆることを忘れ、
一瞬の出来事の中で永遠のごとく時間軸が消える。
太古から繰り返されている寄せては返す波の音を聞き、
潮風に吹かれているだけの世界に入って行く。

云わば現世との乖離を体験していた。

さて、現世からの乖離が体験できなくなってしまうとどうなるのか。
それはね、別の方法で、疑似体験の疑似体験がしたくなるんだよ。

ボクは、何処へいくのでしょうか。
ボクは、どうなってしまうのでしょうか。

分かり易く書くとね、
疑似体験の疑似体験とは、体験ということ。

まずいよね。

2015年6月18日木曜日

自邸


人様から依頼を受けて、プレゼン用の模型を作っている相棒の傍らで、
そこそこ準備しなけれればならないシゴトを机に広げつつつい、
自邸の設計に熱中していて、ふと気がつきました。
あ、そうか、一生懸命考えているけど、
これって一銭にもならないんだ!
やばいな。

相棒が描いた我が家のプランを見ながら、
相棒の考えや好みを読み解きつつ、
オレは、こうしたいんだ!というプランを描いている。

過去最高に難しいよ、相棒へプレゼンすること。

何せ去年から離婚を迫られ、
最近ようやく相棒が描いたプランに、
自分とこどもと相棒のスペースがあることを見て、安堵したばかりだからなぁ。

オレはこうしたいなどと、そもそも未だ言える立場ではないのではと、考えてしまう。
そんな状況で、これ描いて、どうなるのかな。
金にもならないし。

まいったなぁ…。

だけど、建築家の端くれとして、
譲れない部分もあるんだよなぁ。

究極のローコスト、ローテク。コンクリートの小屋。
こんな納まり他人様の家じゃ絶対描けない、そんな家描いているんだ。
楽しみでしょう。(事情はさておき)

はたして、どうなることやら。


 

2015年3月12日木曜日

伊勢正三


17、8才の頃
同い年の少女を好きになった。

彼女に聞いた。
どんな音楽が好きなの?

彼女は、躊躇なく云った「伊勢正三」。

オトコは、
特にオレは、おさなく
彼女の説明を求めた。

知っている音楽だった。

オトナだなと思った。
オレが知らない人を知っている、大人だと。

夏の
小さな山に公園があって、
ささやかなお店があって、
かき氷を
木陰のベンチに並んで、

深い常緑樹の葉の色をした緑
遠い記憶。

  

2015年3月4日水曜日

ツイッター


ツイッターを実名で書いていると、ふと思うことがある。

時々同じ人が、返信をくれる。
ツイッターは、99%が、ツイッター名である。(個人的推測)

時候挨拶ついでに、「作品楽しみにしています。」とか、「陰ながら応援しています。」
等と書いてもらうことがある。

そんな時ふと、思うのである。
あれ、この人はもしかして、オレのこと知っている人なのかな?(そりゃ知っている)
もしかして、オレもこの人知っているのかもしれない…。
もしかしたら、今このガラス張り事務所前を通った学生さんだったりして…。
(妄想が脱線しそうになる)

ツイッターでは、周りの雰囲気に飲まれて、ついつい赤裸々トークを連発している。
元々自らの発信ツールとして始めたことなので、どうということはないのだけれど。

ふと思うのは、
作品等をマスメディアで紹介してもらい、それを100人の人が無表情に眺めるのと、
例えばこのように、数人から激励を受けること。
はてさてどちらが…

否、別にどうということではなく、ただこうして不毛な時間を仕事の合間に過ごしてしまった。
例のガラス張り中丸見え事務所で。

  

2014年3月29日土曜日

悲しみの果て


周囲の状況を
変えようなんて そんなことは無理だ
そんなことしようなんて 
思わないことだ。

ただ、
自分を 変えることは
容易いことだ。

とても 簡単なことなんだよって、
女神が 微笑んでいる。

自分が、
自分の力で
自分自身が変わったとき

そのとき、
何もしなくたって
周りが ひとりでに変わるのさ


くよくよしないで 笑顔になろうぜ












2014年3月24日月曜日

山椿



住宅を描く敷地の裏山に、
それはそれは、美しい花をみつけました。

なんとも可憐な花弁の造形と
上品で且つ、情熱的とも云える 真紅の色。

ひとめぼれとは このことかと思うほど、
瞬時に好きになって しまいました。

 
 
 
参りました…。


                                       (写真は、ネットからです)
 
 

2014年2月1日土曜日

「お受験」顛末記

受験、受験と騒がしかった我が家に、
久しぶりに、普通が帰ってきた。

何十年も前、
わたくしは、公立高校を受験した。
その頃は、ネットなんて無くて、
受験校の掲示板を見るしか、受かったか否かの情報を知る術がなかった。

まだその頃は、父親が生きていて、
父親は、秘かに、その掲示板を、見に行った。

一方わたくしは、当然あるべき番号を即座に見つけて帰宅した。

間を置かず、そこへ父親が帰ってきて、
されたことのないことを始めた。
父親は、わたくしを慰めようとしている。
番号が無かったと…。
びっくりしたことを、今でも鮮明に覚えている。

さて、あの時、父親はどんな気分だったのだろうか。
知りたいなと思っていた。その時、父親はどんな心境になるのか。
受かっていたとしても、そうでないにしても。

家人と当人は、スマホを覗き込んでその時刻を待っていた。
第一志望校の合格発表、受験から二日後の4時。

わたくしは、そうは言っても迷っていた。
目の前には、パソコンが有り、受験校のHPが立っている。
このまま、あと2時間ほど待っていれば分かること。

しかし、急にどうしても体験したくなった。その父親の気分を。

もし息子が合格していたら登校に使うはずの交通手段を、経験してみた。
所要時間46分。電車の乗り換え1回。まずまずだな。

予定発表時間まで、あと15分。
予定は予定なので、適当に張り出しているかもしれない。
掲示板の前まで行ってみた。まだ無い。
どうやら、時間は正確らしいことを察知した。

遠巻きに親子が、掲示板を囲んでいる。

外のタバコ屋の前まで行き、一服つけてくればちょうどいいだろう。

再び、掲示板の前、まだ5分ある。
隣に、一組の親子が立った。
隣で、カウントダウンが始まった。あと3分、2分。

二人の学校職員が、大きなボードを裏返しにして持ってきた。
4時ジャスト、ボードを表側にして掲示板に張り出した。

その瞬間、番号が見えた。
父親の心境は、一部味わえず仕舞い。
すぐに、見つけてしまった。
携帯で、写真を3枚ばかり撮り、掲示板を背に外へ向き静かに歩き出した。

受験前、「受かる気がする。」
試験後、「あの学校に通うと思う。」等と、根拠のない自信を持っていた息子。

校内の広場を半分も歩かないうちに、家人から電話。
息子と共に喜びを爆発させている。

知っているよ。見たからね、掲示板を。

ビールが飲める最も近い店に入って、グラスにいつものように、手を合わせた。

「ずるいよ、父さん。」
3回程グラスを替えてもらったとき、手続き書類を持った家人と息子が入ってきた。