2011年10月31日月曜日

無題

雨に煙る秋の山。
土蔵脇の小径を登ると、友は、いた。

去年、別れも云わず旅立った友。

やっと会えた。
立派な御影石でできた秘密基地。

刻まれた没47歳の文字、
こらえていたけど、我慢ができなかった…。








2011年10月25日火曜日

群青色の秋




群青色の空に、風が吹き渡る。

秋は、実りの秋。
秋は、優しい秋。

秋は、嬉しい秋。

嬉しいのは、人間だけじゃないんだよ。
みんな嬉しいんだ。

色んな生き物も、喜んでいるんだよ。

恋人たちのほてった頬を、
やさしい風が、撫でて行く。



  




2011年10月21日金曜日

受賞

受賞について、今、わたくしが思っていることを、正確に書き残そうと思った。

授賞式に出席して20日が経とうとしている。
それだけ時間が経過して尚、今、喜びがわたくし自身を包み込んでいる。

「バス通りの家」
施主の要望を聞き、敷地を見た。繰り返し、敷地に立ち、わたくしはある形をイメージした。
それは、突然の閃きのようでもあり、天空から降りてきたようでもある。
それについては、よくひとに聞かれるのだが、言葉では旨く表現できないし、どうでもいいので、その後どうしたかという話にする。

その当時、それは今日とあまり大差ないかもしれないが、
自らの持つ建築に関する経験の粋を、尽くそうと血みどろになった。
壮絶なまでの、妥協無きディテールの極致。
本気で立ち向かってくる現場。
さらに、それを上回るエナジー。
まさに、職業上における男同士の戦争のようだった。

完成した家を、わたくしを見つめ続けていた老齢のカメラマンが、
是また決死で、印画紙に焼き付けた。

その結果、メジャー専門誌編集部員が、広島まで見に来たのである、その家を。
しかし、都合で内部取材が叶わず、掲載見送りとなった。

オープンハウスでは、尊敬する建築家が、
「ここまでくると、レバハンが、邪魔に見えるね。」そう、言い残してくれた。
不要な物を、一切排除した結果だと思っている。

この家に関しては、これで終わりだと思っていた。


それから数年。
たまたま千代が見ていた、コンペ情報。
たまたま、さらに、気が向いて登録申請手続きをした千代。
本人も忘れていた。
わたくしは、知らなかった。

その後半年が過ぎた頃、
主催者側代理店の営業部員の来訪。
急ぎ生写真を張り付けての、応募となった。


審査委員長、伊東豊雄。前年入選者の中に、槇文彦の名前。
その他、歴代受賞者の中に、偉大な建築家の名前多数。
賞は、特に権威ある賞とは言い難い。
そこそこの人が、応募すれば誰でも取れると思っていた。今でも、思っている。
しかし、わたくしは無理だと、本当に思っていた。

どういう経緯で、わたくしが選ばれたか。
それこそ、偶然の賜物であろう。
だが、今日まで、僅かずつではあるが、わたくしなりに積み上げてきた結果が、
ほんの少しでも、影響しているはずだとも思う。
そこが、嬉しいのだ。
時間は、掛かった。だが、今、細い光が、確かにわたくしを照射している。
これは、事実だ。
それが、わたくしを喜ばせているのである。






































2011年10月13日木曜日

10月の海・厳島そして、朝焼け。

(どうやら、ボクがこの通りに面してガラス張りのシゴト場で、椅子に座ったまま寝ているのは、近所で有名らしい)

その日、いつもの浜に向かう国道は、ひどく渋滞していた。

忙しい(本当は、それくらいの時間は、いくらでもあったはず)という理由で、
今年初めての、海水浴が10月になってしまった。

国道上に、2時間もクルマを置きっぱなしにしていたので、
浜に着いたら、3時を回っていた。

オレは、帰りのフェリーの時間を気にしながら酒を飲むのが嫌だなと思っていたので、
到着時間の遅れを、むしろ歓迎していた。
(これで、野宿する理由がついた。)

海水温は、気温が下がったほど低くない。
実はこの時期、泳いでいる魚が見えるほど、海水の透明度が高い。

家族全員、存分に泳いだ。

夜は、焚火とワイン。
浜の料理長わたくしが、ステーキ肉を焼き、パスタを茹でた。
(これを書いている途中、ここで隣の洋食屋さんで、酒を飲み少し酔ってしまった)

それぞれが、それぞれの夜を過ごし、夜は、それらとは無関係に更けていった。

そして、神々しい日の出と朝焼け。










2011年10月6日木曜日

夜間飛行

 
滑走路に延びる照明に、全てスイッチが入る。
離陸の許可を待つ時、
ボクは、
身動ぎもせず、その瞬を待っていた。
 
管制塔から、
アナウンスが、聞こえる。
 

空に広がる無数の輝き、海岸と一線を画する都市の光。
 
君に会えた喜びの、憶。
儚く、眩く、強烈に瞼を刺激する。
 
それはまるで、
点滅する翼灯の如く。