2011年12月24日土曜日

サンタクロース

小学4年の息子は、今でも本気で、サンタクロースの存在を信じている。
いくら友だちに、「サンタなんていないんだぜ」とか、「サンタクロースは、お母さんなんだよ」と、言われても。

今年のクリスマスイブ彼は、自宅から100km離れた、おばあちゃん家に行くことになった。
おばあちゃんは大好きだし、そこへ行くことに何の不満もなく、楽しみにしている。
だが、彼には心配があった。
それは、サンタさんが、おばあちゃん家を知っているだろうかということだ。

結論として分からないかもしれないと考えた彼は、クリスマスイブの前夜にサンタさんを呼ぼうと考えたらしい。
そして、念力をかけた。
サンタさん、ぼくの家には、きょう(23日)来てください。と。

息子は、念力が通じたらしく、
希望したプレゼントを持って、今、義父母の家に居る。

ある日、学校で先生(女性・独身)に、聞いたらしい。
「先生、サンタさん、おばあちゃん家分かるかな」。
すると、周りから先の友だちたちの声。
それを聞いた先生、
「サンタさんはね、サンタさんのことを信じていない子の処には来ないの。それじゃあ可哀想だから、サンタさんに変わって、お母さんやお父さんがプレゼントを置いてくれるのよ。」と。
ナイスフォロー、素晴らしい。
わたくしは、先生の感性に感心した。
そして、それはまた、真実だから…。





2011年12月17日土曜日

10年前の雑誌

10年前まで、近所に街の本屋さんがあった。
その本屋さんの店主が、バイクに乗ってひょこっと事務所に入ってきた。
なんだろうと思った。10年ぶりの再会である。
手袋を外した手には、一冊の雑誌…。えっ、なんだろう。短時間の内に疑問符が、頭の中を駆け回る。
「整理しよったら出てきたけ、持ってきた。あげる。」

10年前初めて建築雑誌に、自らが設計した住宅を掲載してもらった。
住宅建築20014月号。

受け取った雑誌は、まさにその雑誌。
(えっ、どおして…)
「知っとっちゃったの?」
「うん、記念に取っておいたのだけど、整理せんといけんようになったけぇ、持ってきた。」

少年の頃から、本を買うといえば、あの本屋さんだった。
月刊誌だけでも何十冊も扱っていたはずだ。その中の一冊、またその中の一部にボクの描いた住宅が載っていた。
その頃はもうとうに、郊外型大型書店が少し離れた場所にオープンしていた。それで、そのおじさんは、店を畳まなければならなくなったのだ。
このオレも、ボクが初めて載ったその本を、大型書店で購入していた。
なのに、
それなのに、その街の小さな書店のおじさんは、その雑誌をとっておいたのだ。

オレが来たら、良かったな、とでも言おうとしていたのだろうか…。

元店主は、何事もなかったかのように、バイクに乗って去っていった。
有難うございますと深く礼をし、小さなバイクが見えなくなるまで、事務所前の道端で見送った。


2011年12月1日木曜日

人と出会うということ

昨日は、ゼネコンの営業の方が訪ねて来てくれた。
きょうは、その人の紹介で、
不動産会社の社長さんに、会いに行った。

どんなに多忙でも、
誰かに出会うことの方が、大切だと考えている。

先方では、ゆっくりさせていただいた。
道中は、クルマの多さが気になっていたけど…。


2011年11月23日水曜日

雨の朝3

それは、何とも気持ちの良い朝だった。
薄いブルーに淡い靄をかけたような色だった。
夜が明ける瞬間、ほんのひと時だけに見せる、しかもちょうど良い雨の朝だけ。
 
読みかけの小説は、クライマックスが迫っていた。
登場する少女は、僕に、言いようのない甘美なエロチシズムを与えてくれた。
読み進めるのがもったいない。
 
雨の朝は、心地いい。
何もかも洗い流してくれるような気がするのか、
いずれ上がってしまうという刹那なのか。
 
どうぞ、今しばらく、僕にこの安寧を。

そして、この瞬間に、感謝する。



9月の風ホームページ
雑誌等に寄稿した文章他(エッセイ等)より





2011年11月19日土曜日

雨上がりの土曜日の午後

忘れ物しているような 日が射すアスファルト
カーブミラーに映る心の隙間

何が埋めようとしているのか

エンドレスの空虚を映す

ピリオド 
それは、前向きなのか


2011年11月9日水曜日

晩秋

秋が深まってくると、
街を歩くおしゃれさんの洋服、
待ってましたとばかりに、
落ち着いたモスグリーンとか、少し濃いめのベージュが、目立つようになるね。

黒い服ばかり着てないで、
さあ、
しっかりと、絵の具をしぼって、
深みのある絵を、描こうよ。

落ち葉の歩道を、歩こうよ。




2011年11月5日土曜日

おむすび

おむすび、
いっぱい作ってもらって、
遠足。
水筒に、お茶も入れて。

おむすびが、いっぱいあると、
嬉しくて、
なんとも、心強い。

子どもの頃の感動が、蘇る。

あの頃は、
母親に作ってもらった、おむすび。

今は、
家人が作ってくれる。

男は、家人に、
母親を、重ねてみているのだろうか…。

おむすびは、
母親の愛情を、
象徴している、のかな。









2011年11月1日火曜日

納得できないカモ

もう、カモが来ていたんだ。
事務所の前を流れる川。

ヒドリガモの対がいた。

それとは別に、
これまで観察したことがないカモがいた。
図鑑で見ると、
オナガガモのようだが、
雄ばかり、3匹いた。

これまでこの川には、
マガモ、コガモ、ヒドリガモしか来ていなかったはずなのだけど…。

これから、羽の色が変わるのかもしれない。


2011年10月31日月曜日

無題

雨に煙る秋の山。
土蔵脇の小径を登ると、友は、いた。

去年、別れも云わず旅立った友。

やっと会えた。
立派な御影石でできた秘密基地。

刻まれた没47歳の文字、
こらえていたけど、我慢ができなかった…。








2011年10月25日火曜日

群青色の秋




群青色の空に、風が吹き渡る。

秋は、実りの秋。
秋は、優しい秋。

秋は、嬉しい秋。

嬉しいのは、人間だけじゃないんだよ。
みんな嬉しいんだ。

色んな生き物も、喜んでいるんだよ。

恋人たちのほてった頬を、
やさしい風が、撫でて行く。



  




2011年10月21日金曜日

受賞

受賞について、今、わたくしが思っていることを、正確に書き残そうと思った。

授賞式に出席して20日が経とうとしている。
それだけ時間が経過して尚、今、喜びがわたくし自身を包み込んでいる。

「バス通りの家」
施主の要望を聞き、敷地を見た。繰り返し、敷地に立ち、わたくしはある形をイメージした。
それは、突然の閃きのようでもあり、天空から降りてきたようでもある。
それについては、よくひとに聞かれるのだが、言葉では旨く表現できないし、どうでもいいので、その後どうしたかという話にする。

その当時、それは今日とあまり大差ないかもしれないが、
自らの持つ建築に関する経験の粋を、尽くそうと血みどろになった。
壮絶なまでの、妥協無きディテールの極致。
本気で立ち向かってくる現場。
さらに、それを上回るエナジー。
まさに、職業上における男同士の戦争のようだった。

完成した家を、わたくしを見つめ続けていた老齢のカメラマンが、
是また決死で、印画紙に焼き付けた。

その結果、メジャー専門誌編集部員が、広島まで見に来たのである、その家を。
しかし、都合で内部取材が叶わず、掲載見送りとなった。

オープンハウスでは、尊敬する建築家が、
「ここまでくると、レバハンが、邪魔に見えるね。」そう、言い残してくれた。
不要な物を、一切排除した結果だと思っている。

この家に関しては、これで終わりだと思っていた。


それから数年。
たまたま千代が見ていた、コンペ情報。
たまたま、さらに、気が向いて登録申請手続きをした千代。
本人も忘れていた。
わたくしは、知らなかった。

その後半年が過ぎた頃、
主催者側代理店の営業部員の来訪。
急ぎ生写真を張り付けての、応募となった。


審査委員長、伊東豊雄。前年入選者の中に、槇文彦の名前。
その他、歴代受賞者の中に、偉大な建築家の名前多数。
賞は、特に権威ある賞とは言い難い。
そこそこの人が、応募すれば誰でも取れると思っていた。今でも、思っている。
しかし、わたくしは無理だと、本当に思っていた。

どういう経緯で、わたくしが選ばれたか。
それこそ、偶然の賜物であろう。
だが、今日まで、僅かずつではあるが、わたくしなりに積み上げてきた結果が、
ほんの少しでも、影響しているはずだとも思う。
そこが、嬉しいのだ。
時間は、掛かった。だが、今、細い光が、確かにわたくしを照射している。
これは、事実だ。
それが、わたくしを喜ばせているのである。






































2011年10月13日木曜日

10月の海・厳島そして、朝焼け。

(どうやら、ボクがこの通りに面してガラス張りのシゴト場で、椅子に座ったまま寝ているのは、近所で有名らしい)

その日、いつもの浜に向かう国道は、ひどく渋滞していた。

忙しい(本当は、それくらいの時間は、いくらでもあったはず)という理由で、
今年初めての、海水浴が10月になってしまった。

国道上に、2時間もクルマを置きっぱなしにしていたので、
浜に着いたら、3時を回っていた。

オレは、帰りのフェリーの時間を気にしながら酒を飲むのが嫌だなと思っていたので、
到着時間の遅れを、むしろ歓迎していた。
(これで、野宿する理由がついた。)

海水温は、気温が下がったほど低くない。
実はこの時期、泳いでいる魚が見えるほど、海水の透明度が高い。

家族全員、存分に泳いだ。

夜は、焚火とワイン。
浜の料理長わたくしが、ステーキ肉を焼き、パスタを茹でた。
(これを書いている途中、ここで隣の洋食屋さんで、酒を飲み少し酔ってしまった)

それぞれが、それぞれの夜を過ごし、夜は、それらとは無関係に更けていった。

そして、神々しい日の出と朝焼け。










2011年10月6日木曜日

夜間飛行

 
滑走路に延びる照明に、全てスイッチが入る。
離陸の許可を待つ時、
ボクは、
身動ぎもせず、その瞬を待っていた。
 
管制塔から、
アナウンスが、聞こえる。
 

空に広がる無数の輝き、海岸と一線を画する都市の光。
 
君に会えた喜びの、憶。
儚く、眩く、強烈に瞼を刺激する。
 
それはまるで、
点滅する翼灯の如く。
 

 

2011年9月20日火曜日

はんかち

 6才の娘が、ハンカチに、アイロンを置いてくれた。

 いつもよりきちんと折り目が、ついている。
ポケットに入れて、出かけた。

 小さな掌で、
一生懸命、置いてくれた。

 小さくたって、女の子なのですよ。
一生懸命、置いてくれた。
 かわいいし、嬉しかった。

 いざ使おうとすると、
もったいない気がした。

 かわいい小さな手で、一生懸命。

 有り難う…。






 

2011年9月7日水曜日

日々雑感

植物は、
種を蒔かなければ、芽も出なければ、花も咲かない。

次の種を蒔かなければ、次の花は、咲くことができない。
至極当然。

日々、
今ある細々とした一本の木の、世話に追われている。
枯れそうになる前に、水やりをし、虫を払う。
次々に襲いかかる日照りや、害虫…。


多忙が、次の多忙を生む。
負のスパイラル。


さて、
どうやって、
この回転を、
せめて、止めることが、できるだろうか。


多くの人が、
困難と対峙している。
困難さ故に、
他人に、潤いを与えること是また、
困難。

こちらにも、
負のスパイラル…。

自然

自然とは、この地球上のこと。
無限の天体に浮かぶ、この星のこと。

それはね、
人間なんて、ちっぽけなものさ。

自然の力が、
人の想像を超える?
そんなの、
当たり前のことさ。

人は日々、
自然の脅威と裏腹に、自然の織り成す美しさに、こころ癒されている。




(災害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げますとともに、
お亡くなりになられた方の、ご冥福をお祈り申し上げます。)

2011年7月30日土曜日

ヒグラシ

 都市の喧騒から一筋出たところへ、唐突にこんもりとした山があります。

 夏の日の夕刻、ちょうど日没時間を過ぎたころ、犬を連れて散歩をしていました。す
ると、わたくしの好きな音が聞こえてきたのです。
 ヒグラシが鳴いています。「カナカナカナカナカナカナ」。
 目に映る風景を、淡いセピア色がかかった色合いに変えてくれるような、かぼそくも控えめに聞こえてくるヒグラシの声。

 立ち止まり、声のする方を見上げてみると、わたくしのその行為に呼応するかのように、また鳴きました。
 カナカナカナカナカナカナカナカナ。


 リードをはずした犬は、聞いているのかいないのか、前をトコトコ歩いています。車も人もめったにすれちがうことのない細い道です。

 山には、お宮があります。その境内には、長久の歳月を立ちつくす対のイチョウの巨木が、青々とした枝葉を広げ、天まで伸びています。


 幼いころ、蝉を家に持ち帰った日、母親に「逃がしてやりなさい」と、諭されたことを思い出します。


 生きているということは、尊いことです。


 ボクは、まるで自分だけが、一生懸命になっているような気がしてしまい、それを邪魔しようとする人と出会うと、何がしか反感を持つ習性があります。些細なことなのにと反省をしても、またそのような場面に出くわすと繰り返してしまうのです。

 愚かな者です。


 人は、それぞれに、さまざまに生きていくために努力をしているはずです。通り過ぎる人、ひとりひとりが皆そうだと思います。あらゆる生物も同じことです。

 自分が、生きるためにあくせくしている分、ひとも等しく若しくはそれ以上に、努力しているのだと思うことができれば、わたくしの愚か癖は、改善されるかもしれません。
 生活をしているということに、敬意を持つこと。
 そうしようと思います。


 「昔にも、同じように注意を受けたことがありましたね」。


 ヒグラシのせつない声を聞きながら、そんなことを考えたのでした。



 2008.7


9月の風ホームページより

2011年7月27日水曜日

教育的配慮



夏の甲子園、県予選が終わった。

結果的には、強豪シード校の優勝で順当というところだろう。

しかし、
準決勝第2試合で、事件が起きた。

局面は、延長10回表2アウト3塁。 スコアは4-4。
ノーシードながら準決勝まで勝ち進んできたチームの攻撃。
守備についている方は、古豪のシード校。

打者に応じて、2人のピッチャーを、レフトの守備と入れ替えていた。
そしてこの場面、
2度ピッチャーズマウンドに上がった選手を、さらにスイッチし、レフトへ交代させプレイオンとなった。

高校野球特別規則。
1イニングに2度マウンドに上がった選手は、次に違うポジションに着いてはならない。

タイムがかかる。
ベンチの控え選手が、レフトへ入れば問題はない。
しかし、守備側チーム、すでに全選手を使いきっていたのだ。

フィールドプレイヤーが9人に満たなくなった場合、即没収試合となり相手チームの勝ちになってしまう。(記録上は、9-0)

79分間の中断。

広島県高校野球連盟が出した結論は、ここで試合を止めれば禍根が残る、
教育的配慮から、それまで投げていたピッチャーのレフトへの交代を審判員は受理していないことにしたのだ。

すでにレフトの守りに着いていたはず選手が、再びマウンドに戻り試合再開。

攻撃していたチームが初球を弾き返し、スコアは5-4に。


だが、ここからが、問題なのだ。

その裏、つまり延長10回裏、
1点リードされた古豪チームが、1アウト満塁と攻め立てたのだ。
一打出れば、逆転サヨナラの場面。


結果的には、5-4のまま試合は終わった。

タラレバを語ることは、意味を持たないとよく言われる。
しかし、
10回の裏、ワイルドピッチもあっただろうし、スクイズも可能だった。
それで、勝敗が入れ替わっていたらどうなっていただろうか。

どちらの禍根が大きいだろうか。

教育的配慮とは、いったい何か。

あなたが、責任審判員だったらさて、どうしただろうか…。


(2016.7.25加筆)

2011年7月24日日曜日

ひと

ひとは、
きっと、いつも誰かに護ってもらっている。


たから、
感謝するのだ。

有り難うございます。

2011年7月15日金曜日

キリンテラス2

広島市安佐動物公園のキリンテラスが、完成したらしい。

テレビ局のカメラマンと、動物園の飼育課長さんから、相次いで電話を貰う。
7/22(金)13時。
報道発表と一般発表を、同時に行うらしい。

報道発表って、なんとなく仰々しく聞きなれないが、両者にとっては普通なのだろう。

動物園の中に、アフリカ平原という名の本当に平原がある。
その一角に設計したキリンテラス。
もちろんこの名称は、仮称で、実際にはどんな名称で発表されるのか、わたくしも知らない。

ライオン観察デッキが、「レオガラス」になったように、
何か特徴を捉えたキャッチーな名称で、発表されるのだろう。


そのオープニングセレモニーに、わたくしも来て良いということなので、
スーツでも着て出かけようと思っている。


カメラマン氏。
当日、夕方のニュースで取り上げます。
オープニングの様子を流した後、
わたくしが、設計しているところや、工事中の様子等、約10か月にも及ぶ取材を、
そのままニュース番組の中で紹介します。とのこと。

広い平原の中で、ダチョウに脅され、キリンにベロベロ舐められながら測量し、
苦労して設計したので感慨深いものがある。

なんとも有り難い話である。

ちなみに、
17時54分からの、スーパーニュース(FNN系列)のローカル枠(TSS)です。

自分

自分には、両親が、いない。


寂しい。

2011年7月13日水曜日

氏神さま

早朝、氏神様に参拝した。

静かで思っていた以上に、凛とした場所。


清々しい。

蝉が鳴いている。
大きな銀杏の木が、一対。

建立の歴史を紐解くと、戦国時代まで遡る。


夏の朝、
ひとり、神社に参拝した。

2011年7月12日火曜日

悲惨な注文

それは、悲惨なまでの注文だった。

道路がない。
資金がない。
借金がある。

数年前にローンで購入した不動産を売却しなければ、いわゆるダブルローン。

隣地にある遊休地を、工事期間中借地することが可能ということが、唯一救い。
施工に支障はない。


敷地を見た。
既存住宅と周囲を、観察する。

暫く、その場に佇む。

身体から時間軸が、溶融する。

まだ、景色として存在しているはずのない家が、
現実としてそこにあるはずの時空を透過し、
そのシルエットを、わたくしにアピールしている。


面白い家が、描ける。


家が、

事情を移動させ、

自らの生命力で、生まれ替わろうとしている。

2011年7月6日水曜日

なにもしない

そもそもこの文章は、昨日書く予定だった。

それが昨日は、朝から打ち合わせ、挨拶等多忙で、書けなかったのだ。

話しは、一昨日の月曜日。
朝目覚めた瞬間、きょうは何もしないと心に決めた。
理由は明瞭。
身体が疲労を訴えたからである。

なにもしないといって、本当になにもしない訳ではない。
仕事系、仕事絡み、仕事場の方向的なことを、なにもしないということだ。

そうと決まれば、誰もいないダイニングに居座り、
まずは、酒の肴作り。

そして、読みかけの本をテーブルに置く。

テレビは見ない。何故なら時間を気にするから。

お義母さんに貰ったアサリを、ちょうどいい具合に焚き、器にどっさり。
もう一つの器は、殻入れに。
酒は、少し迷った上で、白牡丹のひや。
ショットグラスに、一升瓶から直接注ぎちびちびやることにした。

伊集院静 「作家の遊び方」。
週刊誌か何かに連載したエッセイ集だ。
だから、3年くらい前の話が多い。
うーむ、作家は2度おいしいな。などと多少悔しがる。

競輪の話が多い。
オレは、賭け事だけは一切しないので、詳しい内容は不明。

少し読むと、寝ていた。
起きてまた、アサリをぱくぱく、酒をちびちびたまにぐび。

伊集院静に、興味を持っている。
何故か。
情熱大陸が、取り上げたからである。

呑んでいると、妄想する。(おまえ、呑んでなくても妄想ばかりじゃないか)

オレも、いつかは、情熱大陸と、本気で考えている。
そこに至るまでの荒筋が、次々と浮かぶ。

夢の中と白昼夢のはざまで、酒を飲む。
そして、読みたいだけの本。

たまには、必要と実感。「なにもしない」こと。


長くなるし、これといった終わり方もないので、

おしまい。

2011年7月1日金曜日

キリンテラス

広島市安佐(あさ)動物公園に、設計したキリンテラス。

完成が、近いということで、現地安佐動物公園で、テレビ局の取材を受けた。

そもそも、わたくしは設計しただけで監理者ではない。(監理は、広島市が直接行った)
だからわたくしは、竣工間近の現場を見学している設計者という立場である。

だけど、設計中最初の一本から、取材しているテレビ局側からすれば、
そんなことは、どうでもいいのである。

現場所長さんに、話しかけてみた。
(いきなりカメラが回っている)
どうやら、苦労した様子。
苦労話を、しばらく聞いていた。
(テレビ的には、苦労して出来上がった方がいいのかな)

現場では、テラスにデッキ板をビス留めをしていた。

うーん、端部の納まりがあまりよくない。
手摺が、波打っている。
コンクリートの打継ぎが、美しくないなあ。

つい、監理者気分になってしまう。
忙しい市の係員が、監理したのだから、こんなもんだろうな。


ほどなく、設計中(調査等で)、顔なじみになったキリンくんがやってきた。

「久しぶりじゃないか。ちゃんと見に来いよ。」

「オレは、監理者じゃないからなあ。」

「それにしても、つめたいじゃないか。ほったらかして。」

「ごめんよ…。」


集音マイクに入ったかなあ…。

2011年6月28日火曜日

建築雑感

広島で建築家が集うバーとして、日経アーキテクチャーで取り上げられたバー。
わたくしを含め3人の若手建築家と、
東京の若手建築家が広島で仕事をするときに、まずはお世話になるという、
有名建設会社社長E氏の4人が、カウンターに並んだ。

建築家K氏が、フェラーリの話を持ち出した。
ある人が、金を稼いでやっとの思いでフェラーリを買った。
そうしたら、そのフェラーリが雨漏りした。
それで、その人がフェラーリ社に手紙を書いた。
すると、フェラーリ社からの回答は、
雨の日には、ロースルロイス等優れたクルマに乗ってください。
フェラーリには、どうぞ晴れた日にお乗りください。だったそうだ。
(わたくしは、フェラーリ社からの回答が予想できた。)

すると、E氏。
(新進の建築家が設計した)家の工事契約をする時に、
お客さんに、こう言うんだ。
この家は(この図面通りに造ったら)、必ず雨が漏ります。
どうぞ、雨漏りでのクレームは、言わないでください。
私が生きている限り修繕はしますからと。

さらにE氏。
東京の建築家(新進系だと思われる)は、
何軒雨漏りさせたかを自慢していると。

わたくしは、笑って聞いていた。
自慢するという表現は、オーバーにしても、
ようするに、それくらいデザインに固執しているということだろう。

分からない訳ではない。


わたくしは、シングルモルトウイスキーを、
ストレートでやりながら、回想していた。

どんなに厳しいディテールでデザインしても、
過去、雨漏りしたことがないなあ…。


3.11以降今ほど、建築の原点が問われている時は、無いと思う。

建築は、多機能な家電製品とは違う。
必要なのは、空間である。


わたくしは、シングルモルトウイスキーをおかわりした。

2011年6月23日木曜日



広島市内中心部からすぐ近くの山手住宅地新築現場。
監理のため、訪れて、何気なく外を歩いていると、
なんと、蟹がいた。

何する気だあ!と、急いで逃亡しようとしている蟹を接写。

昔は、沢に行くとよくいた沢蟹。

わぁ、こんな街中にいるのかと、驚き。

どことなく、愛嬌があるでしょ。

2011年6月22日水曜日

半夏生 はんげしょう

今日は、夏至だが。

夏至って響きは、つまんないな。

それより、11日後の半夏生の方が、艶っぽい。

たとえば、
半夏生、浴衣で夕涼み。
とかね。

いや、別にいいのだが…。

旅立ち前夜


旅立ちの前夜、
アトリエの隣にある洋食屋さんの前。
つばめの子どもたちが、軒下の看板に並び、
一羽ずつ、最後の飛行訓練を受けていた。

このあと、この場所での最後のごはんを、おかあさんからもらい、
旅立ちの合図を待っていたのか…。

翌朝、事務所に来てみると、
おうちには、もう誰もいなかった。

2011年6月21日火曜日

2011年6月20日月曜日

ねこちゃんの言い分

そのねこが、ネコのくせに、鈍くさいのじゃないのか。と言ったが。
いやいや、雨上がりで滑ったの。
ねこだって、一度落ちたら分かるから、もう登らないでしょう。
いや、それが登るのよ。

アホなの?
違うっ!
という感じでびうに雪崩れ込む。

だけどそこに、登れないようにしたら、
ねこちゃんは、楽しみが減るのではないかな…。
ねこの立場で、考察する建築家である。


(ツイッターに加筆)

建築家の週末

土曜日
新築中の現場にて、クライアントご夫妻と打ち合わせ。
進行中の現場案内。
ご夫妻帰られた後、
現場所長さんと外構工事について協議。
ガスメーター設置場所変更依頼等。
事務所で、電話にてさらにクライアントと打ち合わせ。

日曜日
午前中から、新しいクライアントと面談。
敷地の案内を受ける。
家に対する思いについて、インタビュー。
話盛り上がり、近所のお好み屋さんで、びう。
午後
そのまま、迎えにきてもらい、
5年前に建てた秀逸作(自賛)のクライアント宅。
なんだなんだ、このカッコイイ家は…。(満足)
ネコちゃんがバルコニーから落下したので、
その対策依頼。
美しい外観を壊すことなく対策を講じたいとのことで、
設計者の出番となった。
相談後、びう。
びう、びう、びう…
ワイン、ワイン、ワイン…
タクシーで帰宅。23時30分。

建築家は、忙しいのだ。

2011年6月17日金曜日

桔梗

持ち帰ったその花を、母に自慢すると、母は、
「これは、別れの印だよ。」「今日で最後にしましょうということだよ。」まじめにそう云った。

別々の学校に通う、高校生だった。
純情で、自分自身を過信することもなかった。

薄紫の、可憐な花。
清楚で、静かなその花は、同級生のその人そのままに、美しい。
長い時間直視していると、悲しささえ漂う美しさ。
母の言葉が、渦を巻く。

植物公園での、初めてのデート。
帰る間際に、お小遣いで買ってくれた一鉢の桔梗。

多くの時が、ぼくを押し流し、
桔梗の花が、記憶としての形を宿し始めたころ、
ぼくは偶然、花言葉の本を、手に取った。

桔梗…、ページを繰る。
桔梗の、花言葉…
桔梗の花の、花言葉は…。

「変わらぬ、愛」だった。

6月の雲

雨上がりのぶあつい雲。
グレーのグラデーションが濃い。
薄い灰色から、墨を溶かしたようなそして厚い雲まで。

だけど、その切れ間からは、
もうすっかり夏の光線が射している。

夏の光線、まぶたを突き抜ける。

2011年6月15日水曜日

自転車

運動不足解消のため、気が向くと自転車をこいでいる。
事務所前の川土手道、片道1.7kmを3往復。

のんびり自転車をこいでいると、いろんなものが見えてくる。
土手に群生する草花、その上を舞うモンキチョウ、さらにその上を高速で飛ぶツバメ。

川面に目を転じると、なんと30cmを超す鯉が4、5匹、草陰に潜んでいる。
越冬ならぬ越夏するマガモが、中州で昼寝。

なかでも私が好きなのは、
孤高の鳥アオサギである。
川に立ち、どこか遠くを見つめている。哲学的な顔。
決して群れない。
しばらくすると、青味掛かったグレーの翼を大きく広げ優雅に滑空し、
また、川に立つ。

たまには、カワセミに出会うこともある。
初めてみつけたときは、びっくりして知り合いの記者に連絡したけれど、
そんなに珍しくないと、一蹴された。

自転車をこぎながら、
計画物件のプランが閃くこともある…。

2011年6月14日火曜日

F1

カナダクランプリは、時差の関係で日曜深夜生放送される。
とても最後までは観ることができないと思い、録画した。
そして、昨晩。
それまで、その手の情報に触れないようにして、よしよしとばかり、
ウイスキー片手に、F1観戦となった。

雨の影響で、セーフティカースタート。
上位選手が、次々タイヤ交換でピットイン。
25周/70周走ったところで赤旗レース中断。
この時点で、我らがカムイはなんと2位。
雨は激しさを増す。2時間の中断。
その間、LIVE放送のサガ延々と、雨のモントリオールを映している。
そして、いよいよレース再開かというところで、放送時間終了。


すっかり、サーキット周辺の川の風景に詳しくなった、私であったのだ。

2011年6月13日月曜日

現場

住宅新築の現場へ行ってきた。

デザインした玄関扉フレーム、キッチンのフレーム、洗面台がついていた。
おー、よしよしである。

和室のクロス、貼り分けたからちょいドキドキだったけど、OK。

外構も進んでいて、雰囲気出てきたね。

全体的によしよし現場である。

キッチン

増改築の現場。
キッチンの詳細をデザインして、工務店に見積もりを依頼した。
想像はしていたけど、やはり予算オーバー。ホントにそんなに掛かるのかなあ。

私は、住宅を設計する場合、キッチンも一緒に設計するのだ。
既製品は、ほとんど趣味が合わないので使わない。
さて、イメージが変わらない範囲で、どこまでVEできるか…だね。