2021年12月16日木曜日

赤木雅子さんへの思い

 

赤木雅子さんへの思い


「アカギさん?誰ですか。」財務大臣を兼務していた当時の麻生副総理が、国会での囲み取材に応じた言葉が耳から離れない。末端のノンキャリまで一々知らないという大臣のお惚けだろうが、事件発覚前ならまだしも、森友問題は大きな話題になっていた。本当に知らなかったのであれば、新聞も読まない無知な国会議員だ。国会答弁で官僚が書いたペーパーの有無という単語を何度も、「ゆうむ」と読んでいたのも頷ける。

 

「それはね、わたくしの妻やわたくしが関与していたとしたら、私は総理大臣を辞めるし国会議員も辞めますよ」。当時の安部総理大臣の衆議院予算委員会での答弁だ。一瞬場がざわついたのを覚えている。我が国の官僚は、優秀な人材とされている。それも局長クラス以上ともなれば際立つだろう。その高級官僚たちは誰を向いて仕事をしているのであろうか。この頃以後、忖度という言葉をよく聞く様になった。指示は無くとも上の者の意を汲むという意味だろう。

 この予算委員会での総理大臣の答弁で、官僚たちは慌てたのではなかろうか。大変なことになったぞと。それが財務省の決裁文書改ざんへと財務官僚たちを走らせたのではないか。勿論実行役は、トップが名前も知らないノンキャリだ。上司からの命令となれば、一切逆らう訳にはいかない失礼ながら末端の職員だ。いつもどんな時も何に関しても、犠牲になるのは弱者だ。

 昨日、2018年に自殺した財務省近畿財務局元職員赤木俊夫さんの妻赤木雅子さんが国と当時夫の雲の上の様な上司佐川宜寿元財務省理財局長元国税庁長官を相手どった訴訟の内、国は責任を認め約1億円と言われている賠償金を支払うこととし、詳しい説明も無く無理矢理この訴訟に幕を降ろした。

雅子さんは、記者会見で「国は誰のためにあるのか」と声を張り上げたという。当然だと思う。官僚は大臣の顔色を窺い部下たちはまた上司の顔色を見ている。皆、自分の出世のことばかり考えていると言われても仕方ない。中には気骨のある役人もいるとは思うが、なんと情けない国家であろうか。

真相究明を求め、国という巨大勢力と19か月も争った赤木雅子さんの心痛は如何ばかりか。想像すると共に泣きたい気持ちだ。

 

2021.12.16