2015年11月16日月曜日
建築
建築は、たいそうなことなのか。
建築は、崇高なのか。
人は、生きるために、
暮らしていくために、
または、住むために、建築を行う。
僕は、美しい造形や、豊かな空間をつくるために建築をしているわけではない。
僕は、自分の建築を人に理解してもらうために建築をしているわけではないし、
建築というものを追求したいから、建築をしているわけでもない。
僕は、生きていくために建築をしている。
僕は、生活をするために、その基礎を学び、社会にでた。
そして、わずかな経験を積み、ごく限られた技術を身につけた。
そうして得たわずかな知識を、精一杯活用して、
少しでも人の役に立ち、生きていく糧を得るために建築をしている。
ただ、それだけである。
だが、それは、やさしいことではない。
そのためには、
その時々において、その場所において、
その建築主が建築を行う状態を知り、その範囲で、謙虚に建築を考え、
結果として出来上がったものを公表し、次につなげなければならない。
その手段の一環として、
大きなまたは専門の媒体で、その作品を発表できるということは、
有効であり、喜ばしいことである。
たいそうなのは、また、崇高なのは、建築ではなく、
人々が、生きていくということである。
そこを混同しないように、僕は、建築をする。
(9月の風ホームページより)
2006.10
2015年9月7日月曜日
滑走路に投げた手紙
テーブルサンゴや、枝サンゴの間から、
ビンショウ性の有る動きで、
熱帯魚たちが、見え隠れする。
エメラルドグリーンの海。
青い空。
ふりそそぐ太陽の光が乱反射する
水平線の中で、
君は、シュノーケルをつけて、
魚に、なった。
僕は、
南の島で、
魚になった天使を見た。
2015年8月20日木曜日
老犬
老犬は、眠っている。
それはそれは、穏やかな顔で。
きょうは、少し仕事を積み上げることができた。
こんなにも、仕事(生活)に苦しんだことが、かつてあっただろうか。
コツコツとまじめに取り組まなければ、いつまでたっても終わらない。
焦ればあせるほど、能率が落ちているようだ。
寒い朝、部屋の暖房を付けたままにしてやった。
温度・風量は控えめに。
老犬は、眠っている。オレのソファで、背をまるくして。
両足を、顔の前に揃えて。
老犬だって、辛いのだ。もう、あちらこちら弱っている。
眠っていることが、仕事なのだ。誰も、責めることはできない。
またあした仕事を、1ミリでも前に進めよう。
デザインで、社会に貢献するために。
仕事をしよう。
ほんの少しだけど、癒しの時を貰ったではないか。感謝。
2011.1.28
2011.1.29 加筆
2015年7月3日金曜日
寂しがり屋のポケット
セイヌの畔で
うずくまっている。若しくは、横たわっている。
サインペンが入ったポケット
集めたダンボールに
描き散らかした 遠い形
土方の服
煤けた髭
どうしても 嵌めてきたプラチナ
オレは、わざわざパリまで来て
・
ピカピカに 磨き上げられたレンガの色が混じった 黒い革靴
ダンボールを拾い上げる スーツの袖
蹴られないように
脇腹を覆うような恰好で ゆっくりと慎重に見上げる
どうか 蹴らないでください
「蹴りませんよ」 聞き慣れた言語
住宅でしょう
いいじゃないですか。
2015年6月28日日曜日
疑似体験の疑似体験
いつもの浜に、行かれなくなってしまった。
いつもの浜に行くと、その時々抱えているあらゆることを忘れ、
一瞬の出来事の中で永遠のごとく時間軸が消える。
太古から繰り返されている寄せては返す波の音を聞き、
潮風に吹かれているだけの世界に入って行く。
云わば現世との乖離を体験していた。
さて、現世からの乖離が体験できなくなってしまうとどうなるのか。
それはね、別の方法で、疑似体験の疑似体験がしたくなるんだよ。
ボクは、何処へいくのでしょうか。
ボクは、どうなってしまうのでしょうか。
分かり易く書くとね、
疑似体験の疑似体験とは、体験ということ。
まずいよね。
2015年6月18日木曜日
自邸
人様から依頼を受けて、プレゼン用の模型を作っている相棒の傍らで、
そこそこ準備しなけれればならないシゴトを机に広げつつつい、
自邸の設計に熱中していて、ふと気がつきました。
あ、そうか、一生懸命考えているけど、
これって一銭にもならないんだ!
やばいな。
相棒が描いた我が家のプランを見ながら、
相棒の考えや好みを読み解きつつ、
オレは、こうしたいんだ!というプランを描いている。
過去最高に難しいよ、相棒へプレゼンすること。
何せ去年から離婚を迫られ、
最近ようやく相棒が描いたプランに、
自分とこどもと相棒のスペースがあることを見て、安堵したばかりだからなぁ。
オレはこうしたいなどと、そもそも未だ言える立場ではないのではと、考えてしまう。
そんな状況で、これ描いて、どうなるのかな。
金にもならないし。
まいったなぁ…。
だけど、建築家の端くれとして、
譲れない部分もあるんだよなぁ。
究極のローコスト、ローテク。コンクリートの小屋。
こんな納まり他人様の家じゃ絶対描けない、そんな家描いているんだ。
楽しみでしょう。(事情はさておき)
はたして、どうなることやら。
2015年3月12日木曜日
伊勢正三
17、8才の頃
同い年の少女を好きになった。
彼女に聞いた。
どんな音楽が好きなの?
彼女は、躊躇なく云った「伊勢正三」。
オトコは、
特にオレは、おさなく
彼女の説明を求めた。
知っている音楽だった。
オトナだなと思った。
オレが知らない人を知っている、大人だと。
夏の
小さな山に公園があって、
ささやかなお店があって、
かき氷を
木陰のベンチに並んで、
深い常緑樹の葉の色をした緑
遠い記憶。
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