2011年12月17日土曜日

10年前の雑誌

10年前まで、近所に街の本屋さんがあった。
その本屋さんの店主が、バイクに乗ってひょこっと事務所に入ってきた。
なんだろうと思った。10年ぶりの再会である。
手袋を外した手には、一冊の雑誌…。えっ、なんだろう。短時間の内に疑問符が、頭の中を駆け回る。
「整理しよったら出てきたけ、持ってきた。あげる。」

10年前初めて建築雑誌に、自らが設計した住宅を掲載してもらった。
住宅建築20014月号。

受け取った雑誌は、まさにその雑誌。
(えっ、どおして…)
「知っとっちゃったの?」
「うん、記念に取っておいたのだけど、整理せんといけんようになったけぇ、持ってきた。」

少年の頃から、本を買うといえば、あの本屋さんだった。
月刊誌だけでも何十冊も扱っていたはずだ。その中の一冊、またその中の一部にボクの描いた住宅が載っていた。
その頃はもうとうに、郊外型大型書店が少し離れた場所にオープンしていた。それで、そのおじさんは、店を畳まなければならなくなったのだ。
このオレも、ボクが初めて載ったその本を、大型書店で購入していた。
なのに、
それなのに、その街の小さな書店のおじさんは、その雑誌をとっておいたのだ。

オレが来たら、良かったな、とでも言おうとしていたのだろうか…。

元店主は、何事もなかったかのように、バイクに乗って去っていった。
有難うございますと深く礼をし、小さなバイクが見えなくなるまで、事務所前の道端で見送った。


2011年12月1日木曜日

人と出会うということ

昨日は、ゼネコンの営業の方が訪ねて来てくれた。
きょうは、その人の紹介で、
不動産会社の社長さんに、会いに行った。

どんなに多忙でも、
誰かに出会うことの方が、大切だと考えている。

先方では、ゆっくりさせていただいた。
道中は、クルマの多さが気になっていたけど…。


2011年11月23日水曜日

雨の朝3

それは、何とも気持ちの良い朝だった。
薄いブルーに淡い靄をかけたような色だった。
夜が明ける瞬間、ほんのひと時だけに見せる、しかもちょうど良い雨の朝だけ。
 
読みかけの小説は、クライマックスが迫っていた。
登場する少女は、僕に、言いようのない甘美なエロチシズムを与えてくれた。
読み進めるのがもったいない。
 
雨の朝は、心地いい。
何もかも洗い流してくれるような気がするのか、
いずれ上がってしまうという刹那なのか。
 
どうぞ、今しばらく、僕にこの安寧を。

そして、この瞬間に、感謝する。



9月の風ホームページ
雑誌等に寄稿した文章他(エッセイ等)より





2011年11月19日土曜日

雨上がりの土曜日の午後

忘れ物しているような 日が射すアスファルト
カーブミラーに映る心の隙間

何が埋めようとしているのか

エンドレスの空虚を映す

ピリオド 
それは、前向きなのか


2011年11月9日水曜日

晩秋

秋が深まってくると、
街を歩くおしゃれさんの洋服、
待ってましたとばかりに、
落ち着いたモスグリーンとか、少し濃いめのベージュが、目立つようになるね。

黒い服ばかり着てないで、
さあ、
しっかりと、絵の具をしぼって、
深みのある絵を、描こうよ。

落ち葉の歩道を、歩こうよ。




2011年11月5日土曜日

おむすび

おむすび、
いっぱい作ってもらって、
遠足。
水筒に、お茶も入れて。

おむすびが、いっぱいあると、
嬉しくて、
なんとも、心強い。

子どもの頃の感動が、蘇る。

あの頃は、
母親に作ってもらった、おむすび。

今は、
家人が作ってくれる。

男は、家人に、
母親を、重ねてみているのだろうか…。

おむすびは、
母親の愛情を、
象徴している、のかな。









2011年11月1日火曜日

納得できないカモ

もう、カモが来ていたんだ。
事務所の前を流れる川。

ヒドリガモの対がいた。

それとは別に、
これまで観察したことがないカモがいた。
図鑑で見ると、
オナガガモのようだが、
雄ばかり、3匹いた。

これまでこの川には、
マガモ、コガモ、ヒドリガモしか来ていなかったはずなのだけど…。

これから、羽の色が変わるのかもしれない。