それは、何とも気持ちの良い朝だった。
薄いブルーに淡い靄をかけたような色だった。
夜が明ける瞬間、ほんのひと時だけに見せる、しかもちょうど良い雨の朝だけ。
読みかけの小説は、クライマックスが迫っていた。
登場する少女は、僕に、言いようのない甘美なエロチシズムを与えてくれた。
読み進めるのがもったいない。
雨の朝は、心地いい。
何もかも洗い流してくれるような気がするのか、
いずれ上がってしまうという刹那なのか。
どうぞ、今しばらく、僕にこの安寧を。
そして、この瞬間に、感謝する。
9月の風ホームページ
雑誌等に寄稿した文章他(エッセイ等)より
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