2016年7月3日日曜日

夏のおでん


おでんが食べたいと答えると、
暑いのに、そんなもんある訳ないでしょと、割と馬鹿にされた。

ある訳ないとは、スーパーマーケットにその食材コーナーがないという意味なのか。
詳しくはないが…。

夜深い時間に、飲み屋街の深い場所にあるラーメン屋に入り、
おでんを3つくらい頼んで、ビールを飲んだ。
あるではないか!ちゃんと。フフフフっと一人にやけて、ビールを飲んだ。

別の夜、
正しいヨッパライおじさんと化した設備設計社長と若手建築家を連れて、
再び深く小さなその店に、入った。
ちょっとドヤ顔で、おでんを取った。
しばらくして、カウンターに背中を向けていたサラリーマン風の方が、振り向いてわたくしに挨拶をした。
声で分かりましたというその方、誰たったかな、若手君に聞くと正確に答えた。
それから、わたくしも丁寧に挨拶を返した。

中学中退という設備社長、懐かしいショートホープを燻らせている。
有り金は千円だと、その札を胸のポケットから出して見せびらかせている。
個性的だとは知っていたが、予備の煙草すら持っていない。潔いと言えば潔いのか。

別の日、
スーパーマーケットに行く相棒について自分も買い物をした。
スジ肉が見当たらなかったが、それ以外の材料を少しずつ買い、中ぐらいの鍋で、おでんを作った。

誰も食べないそのおでんを、ちょびちょびかじりながら、今こうして、
コンビニのくじで当たったよく冷えたチューハイを飲んでいる真昼の夏。

2016.7.3

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