2017年8月28日月曜日

夏の夜の思い出



寝つきが悪い夏の夜、ときどき思い出すことがある。
余程印象に残っているんだろうなと、自分でも想う。

高校生だった頃、
オールナイトジャズフェスティバル広島とかそんなイベントが、あったんだ。

広島の西部に、ただだだっ広い草原というか丘があってね。今はもうないけれど。
夏休み最中、そこへ、仮設ステージを組んで、夜通しライブをやるから聞きにおいでという、まあ本当に祭りみたいな。席は、全席自由の芝席だ。

当時、スクエアとかカシオペアとかフィージョン系(この様な表現今あるのか不明)の、レコードをよく聞いていた。友人と僕は。

ある年、
今年は、カシオペアが来るよな。
カシオペアが最後に出てきて、本当に朝焼けの中で、朝焼けをやるんじゃないかな。等と自転車をこぎながら友だちと話していた。当時は、何処へ行くのも自転車だったな…。

次々と様々なバンドが演奏しては、楽屋へ引き上げていく。カシオペアは、まだ出ない。友人と僕のワクワク度は、増していく。おいおい、本当にやるかもな。

話しはそれるけど、次々出てくるバンドの合間に、あのタモリが出てきた。グランドピアノに向かっている。なんだなんだと思っていると、若き日のタモリが客に毒づく。「オレをこんな所へ呼んで何をしろと言うんだ」。笑いを取る。しかし、タモリは、我々の期待を裏切る。スタンダードジャズを真面目に演奏した。上手いなというのが、共通の感想である。

さて、時間は過ぎ、本当に夜が白々と明け始めた。遠く山並みのスカイラインに朝焼けが見える。最後の奏者登場。カシオペアだ。
鳴き鳴きのギターとチョッパーベース、本物の朝焼けをバックに、朝焼けが始まる。

友だちと顔を見合わせる。鳥肌もんとは、このことかという物凄い演奏。きっと奏者も、アドレナリンが噴出していたに違いない。プログラムだけでは実現できない。そのタイミングの気象条件も合致していないと不可能だ。

奇跡の、朝焼け。
夏の眠れない夜、こうして思い出している。


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